年齢が若い頃
ですからニンジは、しかつめらしい顔をして坐禅を組んでいる、修行中の僧侶たちが、そのままで行い澄ました境地にいるのだ、というふうには、云い得なかったのでありまして、たとえ彼等が人間本来の弱さからして、どんなに俗なことを考えていたにしても、それはそれとして咎めるべき筋合いのものではないと考えているのであります。ごく寛やかな見方をしている訳であります。そこで、そういうことを云ったのであります。
すると、これを聞いたザヴィエルのほうは、非常にびっくり致しました。日本の坊主というものは、苦行の最中にも、宇宙とか神とか真理とかいうようなもののことは一寸も考えずに、瞑想の間にあってお金のことや料理のことを考えているのである、というようなことを直ぐに本国へそのまま報告した、ということが記録に載せられております。
また或る時に、ザヴィエルがニンジに向いまして、
「貴方は一体、年齢が若い頃がよろしかったか、年をとってからのほうがよろしいか?」
ということを聞いたことがあります。
ニンジはそれに答えまして、
「いや、若い時のほうがよかったですね。若い時には元気があるし好きなことも出来たりするし......」
と云いました。
